福祉・介護分野で働く人について、当法人の職員を例にご紹介しています。
前回は当法人の特別養護老人ホーム白楽荘で働く「ケアワーカー(介護職員)」についてご紹介をしました。
さて、今回はズバリ!「介護職員のお給料の実態!」ということで、当法人の特別養護老人ホーム白楽荘の介護職員の例や都内の集計データなどを基にお送りしたいと思います。
さて、一般的に「介護職員=低収入」というイメージが定着しています。介護人材が不足しているのはその処遇の低さが原因であるということも指摘されています。
国としても介護職員の処遇改善には注力しており、介護保険制度の改正によって「処遇改善加算」というものも誕生しました。この「処遇改善加算」については、機会があれば別にご紹介したいと思いますが、まず、実際の介護職員の処遇について、客観的なデータから見てみましょう。
白楽荘では介護専門学校や福祉系高校からの新卒採用を毎年行っています。もちろん、大学で福祉介護を学び就職した職員や中途採用の職員もいます。中途採用の職員が白楽荘以前にどういった仕事をしていたかを見てみますと、やはり圧倒的に他の法人施設で介護職として働いていたという人が多いです。白楽荘以前に就業していた施設は有料老人ホームや介護老人保健施設、デイサービスや訪問介護事業所と様々です。
では、実際に当法人の特別養護老人ホーム白楽荘の介護職員賃金データを例に見ていきましょう。
以下は白楽荘で働く介護職員について平成27年度の集計数値となります。なお、100円未満は切り捨て表示しています。
○ 白楽荘介護職員平均年収
項 目 | 金 額 | 備 考 |
白楽荘介護職20代平均年収 | 4,020,000円 | 平均年齢25.73才 |
白楽荘介護職30代平均年収 | 4,721,500円 | 平均年齢33.47才 |
白楽荘介護職40代平均年収 | 5,112,400円 | 平均年齢43.75才 |
白楽荘介護職50代平均年収 | 5,150,600円 | 平均年齢55.33才 |
(全体)白楽荘介護職平均年収 | 4,590,000円 | 平均年齢34.05才 |
都内特養介護職員平均年収 | 4,230,900円 | 東京都社会福祉協議会「平成26年度介護職員賃金実態調査」より |
年代別の差や職員全体の年齢構成変化などもあり、一概に比較することは適当ではないかもしれませんが、平成26年度の都内特養介護職員平均年収と比べると当法人の平均年収は上回っております。しかし、同じ介護職員同士の比較なので世間一般的にはどうなの?という疑問があります。
そこで、厚生労働省から公開されている「賃金構造基本統計調査」の数値を用いて比較してみました。その結果が以下となります。
○ 年代別における賃金比較
年齢構成 |
白楽荘介護職員平均 | (夜勤手当含む) |
H26年賃金構造基本統計 全産業平均 |
20~24 |
215,000円(2.6年) | 247,000円 | 198,000円(2.4年) |
25~29 |
233,800円(6.2年) |
265,800円 |
230,300円(4.4年) |
30~34 |
263,000円(5.9年) | 295,000円 |
262,500円(6.7年) |
35~39 |
276,900円(6.2年) | 308,900円 |
295,900円(8.9年) |
40~44 |
274,200円(8.6年) | 306,200円 | 325,400円(10.8年) |
45~49 |
273,200円(7.3年) | 305,200円 |
357,700円(11.8年) |
50~54 | 242,200円(9.0年) | 274,200円 |
372,600円(13.4年) |
54~59 | 321,100円(14.0年) | 353,100円 |
360,800円(15.8年) |
※ 賃金とは一月に支給される現金給与額(きまって支給する現金給与額)から超過労働給与額を差し引いた 額。当法人は基本給+特殊業務手当+扶養手当+住宅手当+資格手当とした。100円未満は切り捨て。
※ 全産業平均は学歴計、企業規模計、男女計の値を使用。
※ 表中()内は平均勤続年数。
この結果をみると白楽荘の40才から54才のゾーンにおいて全産業平均よりも賃金は低くなっています。これはそのゾーンにおいて当法人職員は中途採用者が多く勤続年数が低下していることが大きな原因と考えられます。しかし逆に20才から39才のゾーンは一部夜勤手当を含めると全産業平均より平均賃金は高い結果がでました。ちなみに夜勤は毎月平均4回で計算しています。
この一部の比較で全てがわかるということではありませんが、介護職員の給与実態ということでは参考になるかもしれません。
いずれにしてもこれからの社会において、介護や福祉の職業はますます専門職として期待されることが高まっていくことでしょう。そうした期待に応えるためにも専門職として評価される賃金体系の整備が図られる必要があるかと思います。
例えば医療・看護と福祉・介護の連携という構図はかなり以前から社会保障の枠組みのなかで課題としてあげられています。しかし、医療・看護も福祉・介護も同じ専門職として存在していますがその賃金実態には大きな差が生じているのも事実です。
医療・看護という専門職の先人達が多くの困難を乗り越え自らの存在価値を向上させてきたように、これからは私たち福祉・介護の専門職が鋭意努力し、その結果として自らの価値を向上していく必要があるでしょう。
いかがでしたでしょうか。これまで4回にわたって福祉や介護で働くことをテーマに仕事の内容や処遇についてご紹介させていただきました。まだまだ世間一般には知名度の低い介護福祉分野の職業や仕事内容、またその他の話題についても、定期的にご紹介していきたいと思います。